232 【将棋】 王位戦第四局の大盤解説を、博多駅へ見に行ったのです。


8/8、9に王位戦の第四局が福岡で開催されました。

2日目の9日には対局が行われている
■ホテル日航福岡近くの
■JR九州ホール
大盤解説会がありましたので
そちらを見学しに、ふらりと博多へ。

JR九州ホールは、博多駅ビル内にあり
博多駅に降りたらエレベーターに乗れば
さくっとホールに着いてしまう楽ちん立地。
ホール横には映画館があり、
普段はそちらで良く映画をみていたので
場所は迷わず、且つ日中の陽射しを受けることなく
たどり着けるので大変ありがたかったです。






JR九州ホールはわりと催しが多くあるのですが、
僕自身こちらに入るのは初めてでした。







「へー、こんな風になってるんだ」と
とても綺麗なホールにわくわく。
入り口はさほど広くはないのですが、
奥が広がっていたのがとても意外で
大きい会場なんだな、とこのとき理解。






解説開始は15:00。
僕が着いたのは14:50くらいで、
中は結構なひとの気配。





かなりたくさんの方で賑わっていました。

ほぼ満席だったのですが、
中程に1席開いていたので
そちらに潜り込ませていただくいて
開始を待ちます。

思ったよりもかなり広い年齢層の方でいっぱいで、
年配の方もいっぱいいらっしゃったのですけど、
小学生くらいの子供達もちらほら見かけました。

帰ってきて調べてみたところ、
開始前に指導対局をやっていたとのこと。

■王位戦中継Blog : 指導対局

これは嬉しいイベントですね。
告知がなかったので知らなかったのですが、
是非後ろから眺めて見たかったです。






そうこうしているうちに
解説会が始まりました。

まずは広瀬章人七段が登壇。






続いて聞き手の清水市代女流六段が登壇です。

清水さんが聞き手を務めるのは大変珍しく、
ご自身でも「あまりない機会」とにこやかに挨拶されていました。






早速、1日目の初手から解説をしていきます。

王位戦は持ち時間8時間の2日制で
普段の棋戦などからするとかなり長時間になり
時間配分などの工夫も求められます。

広瀬さんも2010年に、当時の深浦王位を4対3で下し、
自身初のタイトルを獲得しました。

その時の経験の話から
清水さんが「やっぱり2日制って全然違うものですか?」
との質問を広瀬さんに振ったところ
「あ、でも、僕、二日制の王位戦しかやったことないから
一日制の感じが分からなくて…」と
苦笑いしていて、会場も笑いに包まれていたりと
終始朗らかに解説が進んでいきます。

解説を進めているときに
穴熊に話が転がったときに
また清水さんが
「そういえば広瀬さんは『穴熊王子』と呼ばれてましたねw」
話を振ったところ広瀬さん盛大に苦笑い。
広瀬さんの振り穴は本当に強力で、
定跡の発展にも貢献しています。

「今回は解説でいらっしゃっていますが、
次は是非、対局者としての広瀬さんを見たいです」
と、清水さんが話を振った際に
「いやでも本当に、羽生さん世代の方々って
なかなか勝たせてくれないんですよw」
との苦労話に会場爆笑。
実際、現状の羽生世代の分厚さはすさまじく、
最近の郷田さんの格調高さが群を抜いていたりと
若手がなかなかタイトル戦に出れないのも分かります。
そんな中、中村太地さんが王座戦のタイトル挑戦を決めていて
9月に羽生さんとの対局を控えているのがとても楽しみ。
広瀬さんもなのですが、40代クラスの分厚い層に
若手の方々が立ち向かっていくのは
とても盛り上がるのでこれからも是非是非応援したいです。






そんな話を挟みつつ、解説もしっかり進んでいきます。

会場を見てみると、みんな盤を真剣に見つめていて
集中して考えていました。
この独特の雰囲気は大盤解説会ならではかもしれません。






小一時間ほど解説をして
現局面まで追いついたところで
「次の一手クイズ」を出題して一旦休憩に。

僕自身、大盤解説会を聞きに来るのは
今年の5月の名人戦と併せて
2回目だったりするのですけど、
次の一手クイズは解説会恒例行事みたいで
3択の中から当てた方に、
抽選で商品をプレゼントしています。

今回は羽生さん、広瀬さんの色紙や、新聞社さんが出していた
棋士の対局写真集?がプレゼントされていました。
いいなぁ!!いいなぁ!
もちろん僕は抽選が当たるどころか、
指し手自体も当たらなかったです!





20分ほどの休憩後に再開とのことだったので、
急いでエレベーターに乗って、
地下まで降りてきました。

お昼を済ませてからずっとコーヒーが飲みたかったので
多分おそらく、会場から一番近いシアトルズベストへ駆け込み。

こういうとき、駅ビルが会場ってとても便利だな!って思います。






そしてその向かいにドーナツ屋さん!
これは買っていくしかないですね!

会場から近いといっても
地下への往復だけで10分ほどかかり、
混雑具合によってはもっと時間がかかるのですが、
今回は比較的スムーズに購入できて
なんとか間に合いました。






ぱたぱた席に戻ってきて
にんまりおやつをいただきます。

会場は携帯電話の着信音だけ控えてね、ってくらいで
基本的にみんな友人の方と喋ったりして
おのおの検討しながら解説を聞きます。

ホールのとなりが映画館と言うこともあり、
ポップコーンを食べながらのひとも居たりしました。
こういった緩やかな感じも
会場独特の雰囲気でとてもたのしいです。

僕のうしろの席の方はうまい棒を食べていて
とてもうらやましかったです。






さて、解説が再開がアナウンスされたところ、
登壇してきたのはなんと藤井九段!
今回立会人で王位戦に来られていたのですが、
よもや解説に加わって下さるとは思わず
なんともラッキー!
会場も一気にわーっと沸いてました!






のっけから一言
「…ん?私ひとりでしゃべるんですか?」と
ぼやいて、みんなを笑わせていました。

藤井九段のトークはとても軽快軽妙で
将棋ファンはてんてーの解説が大好き。
実際、藤井さんがいらっしゃってから
会場が一気に沸き立って
みんな笑顔になっていました。

そんなぼやきを聞きつけて急いで清水さんも登場。
休憩を挟んで進んだ指し手について解説していきます。






藤井先生が登場したころには
もう終局がかなり近いくらいになっていて
詰め視野に入れた解説をしていました。

途中、「次の一手クイズ」の指し手について
解説が入った際に、「この手を指したときに、
ここから、こうなって…って解説、さっきやらなかったんですか?
えー…?何とも、雑な解説だったんですね」と
ぼそりと一言でまた会場爆笑。
ちょっと文面では分かりづらいので補足させていただくのですが、
揚げ足を取るような言い方でなく、冗談を飛ばしあうような
距離感の言い方で、なんとも藤井さんらしい言い回しが
とてもみなさんに受けていた様子でした。

ちなみに、この「解説しなかった」部分に関しては
あとから広瀬さんから話があって
「すみません、さっきの言い訳かもしれないんですけど
あそこまで解説してしまうと『次の一手クイズ』の3択が
1択になってしまう恐れがあったので
解説出来なかったんですよw」と事情を話して
また会場が笑いに包まれていました。

実際、振り返ってみると解説が始まった時点から
かなり寄せの構図に入っていってて
解説手が結構な確率で当たります。
そういった意味ではクイズにするには工夫が必要で
広瀬さんが解説できなかったのもなんとなくわかりました。

この後、藤井さんも次の一手クイズを出そうとするのですが、
局面があまりにも終盤戦すぎるのと
考えている間に指し手が3手も進んでしまったりするのとで
「先生、そろそろ立ち会いに戻らないと…!!」と
周りのスタッフの方が焦ってしまうくらい
急ぎ足な設問になっていました。

立会人が戻るように言われてるということは
かなり終局が近いな、ということで
藤井さんも立ち去る直前に
「もしかしたら、このあともう一回戻ってくるかもしれません。
対局者と一緒に」みたいなことを言われて、もう一回休憩時間。

こんなワクワクするアイルビーバックは初めてかもしれません。






15分ほど休憩を挟んだところで
「すみません、予定より早めに解説を再開します」とのアナウンス。
どうもやっぱり、終局が近いみたい。

ホールに戻ってきたところ、開始時よりも
人が増えていて、椅子も追加で運ばれていました。
席数をざっと数えたところ多分200席ほどあったと思います。

立ち見の方もちらほらいらっしゃったところに、
解説に戻ってきた広瀬さんが
「あー、あそこに棋士が一人いますねー」と発言して会場ざわざわ。

後ろの方で立ち見をしていた佐々木慎六段が
「やべぇ。見つかっちゃったよ…」と
恥ずかしそうにしながら登壇してきました。






「あ、あの、僕ほんとにこういう、
目立つ場所が苦手で…」と
あたふたしながら佐々木さん。
急に掴まってしまい、あたふたしていて
めずらしく広瀬さんからいろいろいじられていました。

「野生のプロって実在したんだ…」と
なんだかとても面白かったです。






と、やっているうちに王位戦が終局。
行方さんが投了したとのこと。

終局時間がかなり早く、みんなそわそわし始めていたところ
スタッフの方から「対局者のお二人が
この会場に向かわれてるとのことです」とアナウンス。
会場が一気にざわつきます。






程なくして羽生さんが登場!
会場が盛大な拍手で包まれます。






行方さんも続いて登壇。
流石にお二方とも疲労の色が濃いです。






広瀬さん、清水さんも交え
終盤あたりを振り返ります。

行方さん自身からも
「あそこで飛車をぶつけたときに、
取られると思っておらず
完全に見落としていた」と
解説で流れが傾いた局面について
言及されていました。

写真の通り、羽生さんと並んでの立ち位置だったのですが、
終始この距離感でたたずんでおり、
「タイトル戦を戦うってこういうことなんだ」と
本気で戦い合った直後の様子を
目の当たりにして、たじろいでしまいました。






行方さんはずっとうつむき、
疲労の中でも局面について
自問自答を繰り返している様子で、
言葉少なげでした。






羽生さんも人前に出ているので
表情は明るくしてはいるものの、
流石に目は疲労が濃くでていて
テレビではみることのできない
空気感が漂っていました。

トッププロ同士が、がっぷり四つで
二日もかけて戦うということが
どういうことか、というのを目の前で見せられると
「わー!羽生さんだー!」という気持ちが途端に失せて
恐ろしいやら物凄いやらで
これが勝負の世界なんだと
また一つ、将棋の見方が変わった気がします。






10分ほどの短い時間で
羽生さんと行方さんは戻られていきました。
大変お疲れなのに、こういった
ファンへのサービスまでこなさないといけないって
将棋以外でもトッププロは大変なのだなと思います。

ほどなくして、解説会も終了。
勝負のゆくえ如何によっては
終電も覚悟していたのですが、
18時過ぎ頃には会場も空になっていました。






というわけで、王位戦の大盤解説会でした!

前回の名人戦では20人に満たない人の中で
ある意味アットホームな解説会だったのですけど、
今回は本格的な人の集まりで
その差も含めてすごく面白かったです。

■186 名人戦第3局一斉大盤解説を聞きに福岡将棋会館へいってみたのです。 | almostdead

終局後、近くにいた
知らないおじさんから声をかけられて
「え、名人戦の時にも解説会あったの?
詳しく聞かせてもらえます」と
いろいろ情報交換をしたりしたりしました。
お互い、名前も知らないまま
「じゃあまた解説会あったらよろしく!」と
別れたりして、なんか独特の空気感を
味わえたのも興味深かったです。

東京の方では総本山の将棋会館で
解説会は頻繁に行われているのですけど
地方ではなかなかこのくらい大きなものはないので
今回参加出来て本当に良かったと思います。
また機会があれば、こういった直の雰囲気を
体験しに行きたいです。

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