■数寄です!
ずっと気になって
アマゾンのカートに入りっぱなになっていた
「数寄です!」を注文しました。
すっごくおもしろかったです!
柳沢教授で山下和美さんの作品を知って、
教授を中心としたほんわかな人間関係が
とても心地よくて愛読しています。
そんなほんわかーとしたマンガ家さんが
数寄屋建築で家を建てるというエッセイがあることを知り、
すっごい気になっていました。
正直、昨今の住宅事情で
数寄屋建築って予算的にも住みこなし的にも
すっごいハードルが高いので
どうやって建てるに至ったかとか
そわそわずっと気になってしまっていたので
えいや!と3冊まとめて注文。
全く前情報を入れてなかったのですが、
3冊目できちんとおうちが建って
しっかりまとまっていたのも含めて
全部が面白かったです!
1巻は「どうして家を建てることになったか?」を
メインに話が進んでいきます。
過去、仕事場として借りていたマンションで
起こったトラブルなんかを中心にまとめられていて
「マンションを買ったのはよかったものの…」みたいな
失敗談?の話もちらほら。
加えて、家を建てるとは決めたものの
「なんだかんだでお金がないんだよ!」という
経済事情まで話が及びます。
この辺、すっごい興味深かったというか、
正直この本を読むまでは
「単行本が30冊以上出ていて
ドラマ化までされている作家さんなのだから
趣味で和風のおうちを建てるのだろう」と
思っていたのですけど、
読み始めると銀行の信託を
安請け合いしてしまったり、
親族周りのことがあったりと
かなり予算的には厳しいことが発覚。
そんな中、建築家のひとが
「僕、会社やめて独立します。
この家に人生かけてます」とか
本気のことを言い出して
さてはてどうなるやら…みたいな内容。
実際、家を建てるなり
マンションを買うなりする際は
銀行からの借り入れなどがあるので
資産のまとめなんかをするとは思うのですけど
こういう部分ってあまり建築番組なんかでは
触れられなかったりしますから
すごく興味深かったです。
2巻目は
「土地の確定から節約生活、そして着工」
な流れになっています。
「お金がないので内々で
地鎮祭をやる」といった話も入っていて
手作り護摩札など
儀式についてのスタンス的な
ことについても書かれていて
面白かったです。
予算がない分を
建築家さんと工務店さんが
すごく努力されていて、
その中のひとつに
建材の買い付けの話がありました。
実際に京都の材木屋さんにまで足を運び、
どういった木があるのか?とか
どうやって伐採するのかなどが書かれていて
いよいよ家造り!といった空気感がすごくいいです。
3巻は、施工中に起こった地震の話や、
瓦屋根の話、そして完成へ!といった流れ。
現在、数寄屋建築自体が減ってきていて
大工の方もなかなか作る機会がない
「網代編み」という天井装飾についても
触れられていました。
少ない機会なので別の大工さんも
勉強にやってきていたりと
現場の空気感が出ていて興味深い!
こういった作業は数寄屋ならでは、です。
なんだかんでで完成を待たずに引っ越すことになり、
いちおう作品としては3巻でまとまっている?感じです。
3巻の巻末にはモノクロですが、
実際のおうちの写真も掲載されていて
すごくいい雰囲気のおうちが建ったのだなぁと
読んでいるこちらまで実感してしまいました。
ただ、時々「次回以降に描きます」となった点が
出てこなかったり、分かりづらかったりして
「結局あれってどうなったんだろう?」と
もやもやっとしてしまうことがありました。
現在「月間YOU」で引っ越してからの生活編を
連載しているみたいなので、
続刊を期待して待ちたいと思います。
僕自身、おうち大好き人間で
「おうち建てたーい、建てれるわけがなーい」と
ハタチになる前からずーっと雑誌を読んでいたりするので
「数寄です!」もすっごく楽しく読めてしまいました。
日本の建築は他国に比べてレベルが低く、
その理由として「農家を省くと、日本人は武家や貴族しか
家を持つことが許されなかった」という文化背景を
上げることがあったりします。
逆に言うと、日本建築の醍醐味は
書院造りや数寄屋などに集約されたりするので、
こういったおうちの建て方って
ある意味、理にかなっているのかなぁと思います。
住みこなすのはとても大変だとは思うのですけど
建築家や大工さんの技術にまで理解が及べば
とても充実した生活になりそうでうらやましい限り。
しかしながら、マンガを読ませていただいたこちらも
完成したおうちになんだか充実感があったりで
不思議に面白く、楽しい作品がまた1つ増えてしまいました。
続きを楽しみに待ってみようと思います。
数寄です! 2 (愛蔵版コミックス)
数寄です! 3 (愛蔵版コミックス)